バーチャル空間で写真を展示した話

こんにちは。笹雪です。
気づけばあと少しで前学期の日程が終わることに月日の流れの早さを実感しています。
先日、VRChatというソーシャルVR(VRSNS)に私の撮影した写真を展示したワールドを制作してアップロードしました。今回はそれについての記事です。

バーチャル空間内での写真展

今回VRChatにアップしたのは「Real Photograph Gallery」というワールドです。

このワールドでは3つのエリア、4つの部屋に写真を展示しています。

風景写真エリア
風景写真(夜)エリア

この夜エリアはワールド内で個人的に一番お気に入りの場所です。

鉄道写真エリア

鉄道写真エリアは、一昨年の鉄道写真展でも展示した写真が多いです。

モノクロ写真エリア

モノクロ写真エリアは、元々6月上旬に四高記念館でモノクロ写真をテーマにした部の写真展が予定されていたのが中止になったので、勝手に一人でやってしまえと思って作りました。

バーチャルでの写真展示は、当然リアルでの展示に届かない部分が多くありますが、新たな展示方法としてチャレンジしてみました。ワールドをアップした後、自分が思っていたよりも多く人が訪れてくれて、さらにその様子をツイートしてくれる方もいて、とても嬉しいです(当初、来るのは多めに見積もって公開から最初の1週間で50人弱ほどだろうと思ってました)。

部の会計がワールドに来てくれた時のスクショ

VRCはVR機器が無くてもデスクトップモードで始めることができるので、興味のある人はぜひワールドに来てください。ワールド検索の際には「photo」か「Gallery」で検索すれば後ろの方に出てきます。

ということで、ここからはワールド制作を始めたきっかけや制作過程を書いていきます。

ワールド制作を始めたきっかけ

今回アップしたような写真展ワールドを作りたい、というのはだいぶ前にVRChatで色々なワールドを巡っている時に写真やイラストを展示しているワールドを見たときから思っていました。

このワールドを見た後、ワールド作成について少し調べたりUnityをインストールしたりしましたが、自分の飽き性が発動して結局長い間放置してました。
しかし、今年4月頃に始まったいわゆる外出自粛期間に、写真を展示するワールド作りたいという機運が自分の中で再燃し、さらにGW期間を中心にVRCで行われた、3Dモデルやアバターのマーケットフェスティバルである「バーチャルマーケット4」(Vket4)を見て創作意欲が高まったことも重なり、ワールド制作を始めることに繋がりました。また、元々6月に行う予定だった部の写真展が中止になったことも、心情的にワールド制作の後押しをしました。

Vket4のワールドのひとつの「パラリアルトーキョー」

初めてのVRChatワールド制作

ワールドの制作を始めるにあたり、まずはUnityについて勉強しました。Planeとミラーだけのワールドから始まりいくつかテストワールドを作りながら色々試して、展示写真の大きさや間隔を探ったりライティングやワールドの軽量化の方法などを覚えたりしていきました。ライティングのベイクと呼ばれる作業にはかなり苦労して一通りできるようになるまでそれなりの時間を要しました。また同時に、写真を飾る額(今回は木製パネルの額を模したもの)のモデリングも行います。

色々なことを試したテストワールド

エリアを分けて写真を置くことは途中の段階で決めていたのでこのようなテストワールドも作りました。こうして、出来る事と出来ない事を把握していきました。ある程度理解できたところで後々アップロードすることにするワールド制作に着手します。展示する枚数と配置を決め、Blenderで部屋を作り、Unityに持ち込みます。

Blenderで作った部屋をUnityに持ってきた段階

この画像の後にエントランスの部屋も作り、それぞれの部屋にオブジェクトを置いたりライトを配置したりしたりしていきます。この段階で、テストワールドの際に決めた壁や床の色を変更したりオブジェクトを置いたりしながら、時には部屋を作り直したりもして、思い描いていたものに近づけていきます。ちなみに、エリア間の移動はプレイヤーがテレポートするギミックを使用する形で行うようにしています。

展示写真のマテリアルを組み込んだ、ほぼ完成の段階

最終的には、もう少し展示枚数減らしてコンパクトにした方がよかったかな?という感じになってしまいましたが一連の作業をやり直す気にはなれず、そのまま完成まで持っていきました。

VRChatに合わせた工夫

VRChatで写真を展示するにあたって、リアルの写真展とは違った工夫を行いました。工夫したこととして例えば展示する写真のサイズがあります。部の写真展では基本的にA4サイズかA3サイズで展示していますが、バーチャル空間にそのサイズで持ち込むと意外に小さく感じられます。そのため、基本的にA1サイズでの展示にしました。そして、写真の解像度についても試行錯誤を行いました。解像度が高いときれいな画質のまま展示できますが、代わりにワールド負荷が大きくなります。これは写真の枚数が多いほど顕著になります。そのため、最低限の画質を確保できる写真のテクスチャ解像度を探りました。

ワールド作成時のメモの一部

リアルでの写真用紙の質感についても、Unityの機能を使ってできる限り再現しようとしてみました。下のツイートはテストワールドの時に行った検証ですが、アップしたワールドでもこの方法を使用して写真ごとに光沢感を実装しています(余程意識しないとほとんど分からないですが)。

また、VRChatのユーザーは多種多様なアバターを使用しており、目線(身長)がそれぞれで違っています。そのため、写真の高さを決めるのに難儀しました。私の印象ではVRCでは低身長のアバターが多いように感じており(私が普段使用しているアバターも身長低め)、少し低い位置に置くことも考えました。色々と悩んだ末に、写真の高さを変えることができるギミックを仕込むことで落ち着きました。

Twitterに動画をあげた段階では、高さを変更した際にパネルが元々あった部分の壁が少し暗くなって汚くなってますが、後に改善しています。

このような工夫の他にも、VRC特有のものであるミラーやワールドペンの配置、海外ユーザー向けの英語表記、さらにワールドのOculus Questのクロスプラットフォーム対応など、様々なことを行いました。

バーチャル空間で写真を展示してみて

バーチャル空間で何かをする、となるとリアルよりも制約が少なく自由にできることの方が多い印象ですが、写真を展示するにあたっては、上で書いたようにどうするべきか悩む場面が多くありリアルよりも制約が多いように思えました。折角自由度の高いバーチャル空間なんだし、と思っていくつかバーチャルならではの演出も考えましたが、自分の技術力が追っつかずに結局ほとんど実装しないままにした部分もあります。また、今回はVRChatを使用しましたが、clusterなどの他のソーシャルVRにもワールドをアップしようとすると、それぞれのプラットフォームに合わせた工夫が必要になり、1度作ったワールドを単純に複数のソーシャルVRに移植することはできず、作業量が増えてしまう、ということもありました。

それでも、ワールドを作り始める前に思っていたよりもバーチャル空間での展示を行うハードルは低く、Unityの知識がほとんど0の状態から始めても1か月強(作業を中断していた期間を除くと実質3週間ほど)で完成させることができました。そして、ワールドをアップした後にそこに来てくれてその様子や感想などをあげてくれているのを見かけたときはとても嬉しかったです。

次に作りたいと思う、リアルで撮影した写真を活かしたワールドの構想も何となく持っているので、頑張って自分の技量を高めて形にしていけたらと思います。

バーチャル(virtual)という言葉は「仮想」という訳で捉えられがちですが、「実質」「実質的存在」といった意味もあります。仮想としての写真展ではなく、実質的な写真展として、新たな表現方法にバーチャル空間内での写真展が認知されて増えていけば面白くなるのかなと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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